建物新築・増築に活用できる「中小企業成長加速化補助金」のご案内

2025年8月24日
工場や倉庫の建設を検討されるお客様から、
「補助金を活用したいが、そこまで大規模な投資ではないため対象になるのか心配…」
というご相談をいただくケースがあります。
以前ご紹介した大規模成長投資補助金は、
「地域をけん引するために、10億円以上の投資を行う企業を支援する」というスケールの大きな制度です。
中には「自社には少し規模が合わないかもしれない」と感じられた方もいらっしゃったのではないでしょうか。
実は、1億円から挑戦できる補助金もあるのをご存じでしょうか?
今回は、建物費に補助金が適用される中小企業成長加速化補助金 についてご紹介いたします。
中小企業成長加速化補助金とは?
この補助金は、売上高100億円を目指す中小企業による成長加速のための設備投資を支援する制度です。
2024年度補正予算で新設され、2025年5月から第1回公募が開始されました。この制度は単年度で終わるものではなく、2027年3月(令和8年度末)までに合計3回程度の公募が予定されています。すでに第1回が実施されていますが、今後も継続的に公募が予定されているため、次回に向けて早めに準備を始めることが重要です。
国が目指しているのは、単に投資コストを軽減することではありません。
多くの中小企業が直面する「売上100億円の壁」を突破し、次のステージへと成長できる企業を後押しすることです。売上規模が100億円に届けば、新たな市場展開や人材採用、資金調達の幅が一気に広がります。しかしそこに至るまでの投資には大きなリスクが伴い、思い切った判断が難しいケースも少なくありません。
この補助金は、そうした“成長の壁”を乗り越えるための挑戦を支援する仕組みとして設計されています。
中小企業成長加速化補助金の対象と要件
◆対象企業
・中小企業等経営強化法に基づく中小企業者
・売上高10億円以上100億円未満
・「100億宣言」を行い、公表していること
◆補助内容
・補助上限額:最大5億円
・補助率:対象経費の1/2
・投資額:1億円以上かつ単価100万円以上の経費が対象
◆対象経費の例
・建物費
工場や倉庫などの新築・増築・改修・中古取得が対象です。
建物と一体となる電気・空調設備や外構工事も含まれます。
ただし、土地購入費や解体費用は対象外となるため注意が必要です。
・機械装置費:生産設備や工具・器具の購入・リース・据付費用
・ソフトウェア費:専用ソフト、クラウド利用料、構築費・設定費
・外注費:設計、加工、検査など委託にかかる費用
補助金を活用するメリット
・自己負担を抑えて投資のハードルを下げられる
設備投資や工場建設は多額の資金を要するため、資金繰りの不安から実行に踏み切れないケースも少なくありません。補助金を活用すれば、対象経費の最大2分の1が支援され、自己負担を大きく抑えることができます。結果として、限られた資金でも質の高い建物や設備投資に取り組めるようになります。
・資金調達の選択肢が広がる
補助金の申請・採択実績は、金融機関やリース会社からの評価にもつながります。補助金を前提にした資金計画は、融資審査を有利に進める効果があり、必要に応じて補助金と融資を組み合わせた柔軟な資金調達が可能になります。
・長期的な投資を計画的に進められる
設備投資や工場建設は一度で完結するものではなく、段階的な拡張や改修が必要になる場合もあります。補助金を活用すれば、初期段階から余裕をもった投資が可能となり、将来の追加投資にも対応しやすくなります。
まとめ
工場建設や拠点整備は、企業にとって将来を大きく左右する重要な投資です。
そこに補助金を活用すれば、自己負担を抑えながら成長のスピードを加速させることができます。
中小企業成長加速化補助金は、まさに「次のステージを目指す企業」の挑戦を後押しする制度です。
今後も公募が続く見込みのため、準備を始めるなら今が絶好のタイミングといえるでしょう。
ただし、補助金を活用するには注意が必要です。
制度の要件を満たす設計や費用計画を整えていなければ、申請が通らない可能性があります。建物の用途や設備の内容、見積の取り方ひとつでも、基準を外れると対象外になることがあるためです。
だからこそ、補助金の活用を前提とした建設計画は、計画の初期段階から設計者と連携することが成功のカギになります。
大建設計工務では、補助金制度に対応した設計提案を行い、要件や注意点についても丁寧にご説明しています。補助金の活用を視野に入れて工場建設や拠点整備をお考えの際は、ぜひお気軽にご相談ください。